初仕事 想い出の椅子のリメイク

UMINOHIとして正式に始動したのは2022年3月1日からですが,それより少し前から知り合いの方からお仕事を頂き活動していまして,UMINOHIの初仕事として請けたのは,事例紹介ページにも載せている「子どもの制作した椅子のリメイク」でした.

お子さんが中学校時代に作った椅子
右側の椅子の脚が左右で少しずれています

こちらの椅子は,ご依頼主のお子さん2人が10年以上前に中学校の授業中に制作したもので,今でも現役で花の置台などに使用しているとのことでした.写真をよく見ていただくとわかるかもしれませんが,特に右側に置いている椅子の座面には花器などを置いていたであろう跡がくっきりと残っており,長年使いこんでいる様子が見て取れました.

お子さんが中学生時代に作ったものですので,脚の長さが不揃いであったり,脚が少し斜めについていたり,鉛筆の跡が残っていたり,接着剤がはみ出していたり・・・ ( ゚Д゚)
正直なところお世辞にもきれいな椅子とは言えないのです・・・が

それぞれの椅子をもっとよく観察していると気づいたことがありました.

左側の椅子は脚が垂直につき,接着剤のはみだしも少なく比較的きっちりと真面目に作られており,
右側の椅子は脚が斜めにつき,接着剤汚れやキズが目立つなど細かいことは気にせず大雑把におおらかに作られています(笑)

ものづくりには個性が出るものです.

これらの椅子にも,作ったお子さんのそれぞれの個性が出ているのだろうなと感じ,
ご依頼主がこの似ているようで違う個性を持つふたつの椅子をずっと大切に使い続けてきた意味を知りました.

どちらの椅子にも「〇年〇組〇〇〇〇」と当時のクラスとお名前が鉛筆で書かれている箇所も見つかり,こうした当時を思い起こさせる部分やそれぞれの椅子の個性をできるだけ消すことのないようにリメイクしようと心に決めて作業に励みました.

アンティーク調仕上げ
横から

そうして完成したものが上の写真です.

斜めについていた脚は一度外して付け直し,脚の長さは切断・研磨で調整しました.アンティーク調にしたいとのご依頼だったので,オイル系塗料を使用して全体を塗装したあと,使い古された風合いを出すために角部分を研磨してあえて塗装を落とし,アンティーク調を演出しました.

写真を見てもらえば,左側の椅子が比較的均一に塗装されている一方,右側の椅子が少しむらのある塗装になっているのがわかると思います.

今回塗装に使用したオイル系塗料は木材にしみ込んで色が付くというもので,キズがついている部分はほかの部分よりも塗料がよくしみ込み濃い色が付き,反対に接着剤が付いている部分は塗料がしみ込まず色が付きません.

すべてしっかりと研磨をすればどちらも同じようにきれいに塗装することも可能ではありますが,ふたつの椅子が持っている個性を生かすためにあえてそれはせず,大きく目立つきれいに見えない接着剤汚れのみ取り除き,キズもすべて削り取ることなく仕上げました.

また写真では載せられませんが,実はこの椅子の座面の下は収納スペースになっており,そこに手書きのお名前が残っていましたので,そちらは塗装せずに仕上げとしました.

大切なものはひとそれぞれです.

誰かにとっては価値のないものでも,別の誰かにとっては想い出の詰まったすごく大切なものだったりもするのです.

そんな誰かの大切にしたいという「想い」に寄り添うような仕事をしていければ・・・

そう考えてUMINOHIをオープンした自分にとってこの初仕事は,

その夢への第一歩を踏み出せたのかなと思うことができた,とても大切なお仕事でした(*^_^*)

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