ダイニングテーブルのカット依頼
最近ご依頼いただいたお仕事についてブログを書きたいと思ったのでこちらにも投稿しようと思います。
こちらの事例の金額や作業工程等に興味のある方は以下のリンクから飛んでください。
今回ご依頼いただいたのはダイニングテーブル自体をカットしてほしいというご依頼です。テーブル脚を切ってほしいという依頼はありましたが、ダイニングテーブルを小さくするために天板を切断してほしいという依頼は初めてです。
写真はお問い合わせ時にすでに頂いており、カットしてほしい長さも10センチと指定がありましたが、写真を見る限り天板の裏面は金具やら何に使うためのものかいまいちわからないめねじが多数打ち込んであり、実際に10センチ切った場合の切断面がダイニングテーブルのどこに来るかがわからない・・・もしかして金具やめねじと干渉するのでは・・・
そしてお客さんからのお問い合わせメールの中にはなにやら不穏な記載が・・・
テーブルの反り防止であるスチールのC型鋼やテーブルの足取付の金具がテーブル天板の裏面に溝を掘って取り付けしており、かなり複雑になっています。
写真だけでも何やら複雑になっていることはうかがい知れますが、さらに実物を持っているお客さんがそう言うということは何か爆弾を抱えている気がして不安しかなく、実際に見せてもらって見積もりすることにしました。
お宅にご訪問してダイニングテーブルを裏返してしっかり確認していきましたが、正直に言ってあまり見たことのない構造をしています。
まず反り防止の金具ですが、こんなにゴツいC形鋼(あとで測ったら厚み3.2mm!)が溝を彫られて取り付けられています。
そしてこのテーブル脚は5本のビスで天板に留まっています。普通はバランスよく金属板の各頂点に1本ずつの4本なのか、その間に1本ずつを追加した8本なのかというところだと思います。お世辞にもバランスが良いとは言えない・・・。
そしてその割にはダイニングテーブルを横から見た時にテーブル脚の金属板が見えないようにとの配慮なのか、金属板の厚み分の彫り込みが施されています。
お客さんに話を聞いていると、なにやら購入してすぐに大きな反りが発生して一度メーカーが修理をしているらしい・・・。
反り防止のためについているゴツいC形鋼も、テーブル脚もその際に交換されたということです。なぜメーカーは脚の交換までしたのかは定かではありませんが、あまり見たことのない複雑な天板裏になっている理由はメーカーの対症療法的な対応の結果のようです。
(お客さんに確認はしませんでしたが、何のために使うかわからないめねじは交換前の鋼材を留めていたものか、テーブル脚を留めていたものかのどちらかなのでしょう)
なんだかあまり褒められた修理には思えませんでしたが、修理対応してもらっただけよかったというべきかも。
カットの際に避けなければならないめねじの数が多いですが、反り防止のC形鋼は移設しなくてよいという話になったので、自分がする作業には大きな影響はなく一安心というところです。
持ち帰って翌日、さっそく天板のカットを行うのですが、やはり問題はすでに打ち込んであるめねじです。
丸のこは持っていないので、おのずと以前のブログで登場したジグソーでカットすることになるのですが、これも以前少し触れたようにジグソーはあまりまっすぐカットする作業には向いていません。さらに天板自体はけっこうな厚みがあるので、カットしている最中の抵抗で刃がずれ込んで斜めに切れてしまう可能性もあります。そのジグソーでめねじのぎりぎりのところを狙って切ろうとすると、少しずれただけで刃とめねじが干渉してしまうかもしれません。
ということでめねじからある程度はなれたところを、できれば打ち込まれためねじが見える裏側を上にしてカットしたい・・・のですが、ここで問題となったのがテーブル脚の金属板がはまる彫り込みでした。
この段差のせいで天板裏側を上にしてカットができない!
段差を乗り越えながらカットなんてしようものならジグソーをまっすぐ制御できるわけがないということで、仕方なく表側を上にしてのカットとなりました。
基本的にはなんとかカットできましたが、さすがにジグソーでのカットのため完璧にまっすぐ切れたわけではないので、あとはサンダーなどを使用してできる限りまっすぐな断面に調整しました。
その次はテーブル脚の金属板をはめ込むための彫り込みです。使用する工具はノミ・・・
ノミです、つまり手作業です。今はトリマーという溝彫りなどに便利な電動工具も世の中にはあるんですが、まだ持ってないんですよねー。
正直なところ今回の作業のために買ってしまおうかとも思ったのですが、悲しいかな普段から買い物には時間がかかるタイプでして、要るかなー要らないかなー別のもので代用できるんじゃないかなーとあれこれ悩んでしまい、結局まあ値段も1万円以上はしてしまうしノミで何とかなるだろうと考えて今回も買えませんでした。
ノミでの作業はまあ時間がかかりましたよ(笑)
ただ彫るだけでも大変なのに、彫り込んだ面をかなり平らにしないといけなかったので、結局満足いくレベルになるまでに6時間くらいはかけたと思います・・・これ、トリマーがあれば30分くらいで済んだのかもしれませんね、はっはー😇
ということで無事に(?)彫り込み作業も終えてしんどい作業はほぼ終わり。あとはテーブル脚をビスで留めるための鬼目ナットを打ち込んで、テーブル脚の金属板隠しの木材を接着して、カットした断面をクリアニス塗装すれば終わりです。
作業の終わりが見えてきたことで彫り込み作業で余計な時間をかけてしまったことに落ち込んだ気分も少し戻り、鬼目ナットを打ち込むための下穴をドリルであける作業をしていきます。
2つ目の穴をあけたところで少し休憩、別の仕事もあったため結構時間が空きましたが、3つ目以降の穴をあけるために作業部屋に戻って作業を再開です。電動ドライバーにドリルビットを取り付けて、カチッ、カチッ。
カチッ、カチッ、カチカチッ、カチッ?
あれーおかしいぞー。電動ドライバーがうんともすんとも言ってくれないぞー。
充電がきれただけかなー?ついさっきまで充電してたけどね😂
・・・もちろんそんなことはなく、8つあけないといけない穴の2つ目のあけ終えたところで、愛用の電動ドライバーは力尽きていました😇
今回は代用できるものも手持ちにないので、泣く泣く近所のホームセンターへ。
トリマーを買うことを悩みながらも値段を理由にしてノミで我慢した結果、その作業に6時間もかかってしまったにもかかわらず、結局あと6つの穴をあけるためだけに新たにインパクトドライバーを購入することとなり(もちろんホームセンターでさんざんどれがいいか悩みまくりました)、今回の家具リペアの収益はすべてこのインパクトドライバー代(約16,000円)へと消えていくのでした・・・。
新品のインパクトドライバーでの穴あけ作業はとても簡単で、ものの数分で残りの穴はあけ終わりました。
・・・今後もずっと使えるものだと頭ではわかっているのですが、この数分のために16,000円かぁ、と思わずにはいられませんでした。
その後の作業は事例紹介ページの通りです。
無事に修理を終えることができ、お宅まで配達した時にはお客さんも少しコンパクトになったダイニングテーブルを見て喜んでもらえたので結果としてはよかったのですが、なんだか今回はいろいろと反省のあるお仕事となりました。
またどのメーカーのものを買うのかでいろいろと悩むんだろうなぁとは思いますが、とりあえずトリマーは手に入れておこうと考えています(笑)