気密測定トレーニング2024@さいたま 裏話
先日書いた講師として参加したイベントの報告のブログの続きで、イベントの裏話です。
よろしければ読んでみてください。
イベントの講師をすることが決まってからのお話です。
今回のイベント、正直なところ私の金銭感覚で言うと参加費15,000円はたかっ!と思っていたので、30名も集まると思っていなかったんですよね。
それに参加される方も埼玉周辺のよほど気密に興味のある工務店さんの方に参加してもらえるくらいかなーと思っていました。
それがふたを開けてみれば、どこどこの大手ゼネコンさんのかたや有名な設計事務所のかたなどが多数参加する予定だよとかお話を聞いた時に(事前予約制だったのでイベント1カ月くらい前に聞きました)、
・・・あれーなんか思っていたより責任が大きいイベントだぞー
と気づき、いやもう冷や汗が流れるような思いでした💦
なぜそんなことになったのか・・・。
私は実は、有名な企業の方々を多数、しかも完全アウェーの埼玉県で集められるような人物だったのだ!
・・・ということはもちろんありません(笑)
そんなことになった原因(?)は、一緒に講師をしていただいた岡田さん。
この方、建物の断熱や気密による省エネルギーの分野で有名な方でして、建物の性能に関して日本よりも進んでいるアメリカを拠点に活動していた方でもあり、その人脈とネームバリューが有名な企業の方々が多数参加するという私が予想していない事態を招いていました。
もちろんうれしい気持ちはありました。
それはもちろんあったのですが、それ以上に正直なところすごく焦りました。
何といってもこの私、これまでの人前での発表経験といえば最長でも学会発表での「発表10分+質疑応答5分」が数回程度、
個人事業主となる前も営業職とか人前に出て話すのがメインのタイプの仕事ではなく、ただのゼネコンの設備職員。
人前で話すことに慣れている人種では全くないのです。
(現場の職人のおじさんたちと話すことにはわりと慣れているんですけどね(笑))
しかも今回、私の講演が約2時間くらいある予定となっていました。
・・・いえ、実際は自分が伝えたいことをプレゼン資料に詰め込んでいたら2時間分の大作になったというただの自業自得な話です。
ということはつまり、自己最長記録の発表時間である10分の12倍!?
私にとってなんとも野心的な挑戦を(自らの資料が原因で)することとなったのでした。
とりあえず人前で発表することには自信がないので、それを乗り越えるためにまずなによりもできる限りの準備をしておこうと私は考えました。
そうです、最悪の場合すべてカンペだったとしても、完璧なカンペを準備すれば2時間の講演を乗り切ることは可能なのです。
ということでパワーポイントのメモ欄にできる限り話すことを書いていきました。わからない人に説明しますといわゆるプレゼン資料のカンペ欄です(笑)、いやーありがたいですね。
これをすべて準備しておけば、最悪パソコンの画面を読み上げているだけで発表が可能です。ただの読み上げマシンで代替可能にはなってしまいますが・・・。
プレゼン資料は約130枚、それはそれは見事なカンペをつくりあげました(笑)
これで終わればどんなに良かったか・・・。
あとは練習あるのみ、もちろん自信のない私は一人でぶつぶつしゃべりながらパソコンの前で発表の練習を始めるのですが、
第一に、自分の良く知っている専門分野の話
第二に、「さすがにすべてカンペを読み上げるのはなあ」という無駄なプライド(笑)
ということで、多少カンペから逸脱した話をしようとし始める自分がいます。
すると、何ということでしょう、明らかに自分が想定以上にベラベラと話を広げ始める自分がそこにはいたのです!?
結局、すべての練習が終わったのは2時間30分後・・・。
面白いもので、得意なことについては結構しゃべれるんですねー、はっはー、
とか笑っている場合ではありません。完全に想定外です。
人前でしゃべるのは得意じゃない、それは全く変わっていません。子供のころから人前で目立つようなことをするのは嫌でしたし、今も緊張でドキドキします。できれば人前に出ていきたくはありません。
それにもかかわらず自分でもびっくりするほどしゃべってしまった。そう自分はまさによく言われる、オタクは得意なことについてはよくしゃべるという典型でした(笑)
なんと本当の問題は、講演をなんとか2時間もたせようということではなく、どうやって2時間で講演を終えられるかということだったのです!?
勝手にしゃべれば2時間30分になってしまうものを2時間に収める作業は困難を極めました。
しゃべっていると説明したい欲が必ず顔を出してくるんですよね。
プレゼン資料のページを減らせればよかったのですが・・・資料を作っている段階でさすがに自分でもページ多いな、とは思っていたので、自分にとっては必要なページをすでにかなり吟味していたためこれ以上ページを減らすこともできず、したくもなかったので結局はしゃべりを2時間に抑える方向で進むしかありませんでした。
何度も練習をしていて次第にわかってきたことですが、プレゼン資料のページを極力減らしていることもあり、資料で説明不足な部分はしゃべりで補完していくことになるのですが、自分もしゃべりながらとはいえなんとなくこの説明が足りていないなとか、この説明だけでは聞いている人にはわからないのではとかを頭の片隅で考えていて、それを無意識に補完しようとしてべらべらとしゃべってしまっているようでした。しかしそのせいで時間がどうしても超過してしまう。
それは結局のところ、だらだらと説明の長い退屈な話になってしまいます。
読む文章と、聞く文章は違う。
今回イベントの講演の準備をしていて気づいた大事なことはこれでした。
文章の読み手は一回読んで理解できなければもう一度読み返せますが、しゃべりの聞き手はそういうことはできないので、伝える側は同じ内容を伝える場合でも、その内容を十分に伝えるためにはそれぞれ違う工夫が必要なんですね。
読む文章で大切なのはいかに情報を十分に正確に伝えられるか。
端的にわかりやすく書かれている必要はありますが、それが行き過ぎれば情報が正確に伝わらないことにもなります。
読み手は読み返すこともできますし、集中が切れれば途中で読むのを止めることも自由です。
しゃべりで必要なのはいかに短い言葉でおおよその内容を伝えられるか。
懇切丁寧な説明も時には必要ですが、だらだらと長い説明はたとえ必要な説明だとしても聞き手を退屈させてしまう。
退屈な話には集中できませんから、いかに内容が素晴らしくても理解してもらえません。
矛盾しているように聞こえますが、聞き手に内容をきちんと伝えるために、懇切丁寧な説明ばかりするのはよくないということです。
短い言葉ですべて端的に説明するというのも聞き手にとっては面白みがないので、そのバランスも結構難しいですが・・・。
(長くても聞いていられるような話の面白い人がしゃべるのであればまた違うのかもしれません・・・。)
自分の根本的な失敗は、相手がこの文章を読むのか聞くのかを意識していない中途半端なカンペを準備してしまっていたことでした。
このことを反省してもう一度カンペを書きなおし、そのカンペに極力従うページと、時間は気にしつつもほぼカンペなしで説明したいことを説明するページに分けるということが今回の問題の解決につながりました。
いやーほんとに慣れない作業は時間がかかるものですが、初めてのことだったのですごく不安だったこともあり、手探りでいろいろと試していたこともあり、本当に何度講演の練習したかわかりません。
10回以上は試行錯誤しながら練習していたことは確実なので、練習途中のカンペや資料の修正にかかった時間は含まずに、練習だけで25時間以上・・・。
時間かけすぎですね💦
当日の講演はその甲斐あって無事2時間程度に収めることもでき、参加者の方からもわかりやすかったととてもうれしいことを言ってもらえたりできたので、本当にその努力が報われる思いでした。
今回のイベントを何とかこなすことができたことはすごく自信にはなりましたが、もとから人前で目立つことをするのは極力避けたいような性格なので、こういうことをするのは本当にたまーにで良いです。
次は9月に関西の神戸あたりで同様のイベントを行う予定です。
こんな感じの私が結構メインを張るイベントです。気密にご興味のある方はぜひご参加いただけると嬉しいです。
・・・お値段は結構高いです(笑)