「換気」と「漏気」
前回のブログでは「ロウキ(漏気)」とは何かについて取り上げました。
ただ、ときどき一般の方から
「漏気って換気の替わりになるのでは?」
「漏気が多ければ換気と同じで空気が入れ替わっているのだから、そのほうが換気装置の必要がなくなって良いのでは?」
と言われてしまうことがあります。
当然の疑問ですよね。
そこで、今回は「換気」と「漏気」の違いについての話をしたいと思います。
「換気」と「漏気」
「換気」とはなんでしょうか。
近年コロナ禍を経験した私たちには簡単な質問かもしれません。
ずばり、空気を入れ替えること。
それに対して「漏気」とはなんでしょうか。
前回のブログを覚えてもらえている人は、「空気(気体)が漏れていくこと」と答えていただけるかも。
では、「換気」と「漏気」の違いとはなんでしょうか・・・。
なんとなくイメージはあるかもしれませんが、意外にきちんと答えるのが難しいのではないでしょうか。
- 「換気」は空気を入れ替えること。
- 「漏気」は空気(気体)が漏れていくこと。
・・・ほとんど変わりませんから、無理もありませんね。
それでは、「換気」と言われてまず思い浮かべることはなんでしょうか。
- 窓を開け放つこと。
- レンジフードを動かすこと。
- 換気装置を稼働させること。
いくつか思い浮かぶことがあると思います。エアコンに換気機能がついているなんてものもありますよね。
「漏気」はどうでしょうか。
前回のブログを見るとわかるかもしれません(PRですw)。
- 建物の外皮(外壁や屋根などの総称)のすきまを通して空気(気体)が漏れること。
こんなところでしょうか。
細かくいうと、窓やサッシ廻り、玄関ドア廻り、配線廻り、配管の貫通部廻り、点検口廻りのすきまや、壁と屋根の取り合い部、地震後の壁の亀裂などから空気(気体)が漏れること、というのが主なところですね。
さて、それぞれの例を挙げたところでなにか違いに気付いたことはあるでしょうか。
といってもなかなか難しいですね。
ちなみに動力の有無ではありません。
機械力、風力、浮力など、すべて「換気」の動力であると同時に「漏気」の動力ともなりますから。
「換気」と「漏気」の違い、それは・・・
人が「意図している」かどうかです。
「意図している」のか「意図していない」のか。
違いはそれだけ。
「換気」は「意図している」。
「漏気」は「意図していない」。
ただそれだけです。
ただそれだけと言われると、「なんだそれだけか」と思ってしまうかもしれませんね。
そう思った方はもう少し考えてみてみましょう。
「意図していない」ということがどういう意味を持つのかを・・・。
・「換気」 : 「意図して」 空気を入れ替えること。
・「漏気」 : 「意図せずに」 空気(気体)が漏れていくこと。
まず「換気」について考えてみましょう。
例えばレンジフードを動かしたときを想像してみてください。
どこから、どんな空気が、どれだけ、どんな経路で出入りしているのか。
この質問に対して、「換気」であればほぼ答えられると思います。
- (どこから)レンジフードから
- (どんな空気が)料理をしていて汚れた空気が
- (どれだけ)レンジフードの設定風量分だけ
- (どんな経路で)レンジフードを通って出入りする。
ちなみにこれで排気された分は給気口から入ってくるとすると、
- (どこから)給気口から
- (どんな空気が)外気が
- (どれだけ)レンジフードの排気分だけ
- (どんな経路で)給気口を通って出入りする。
となります。
「意図している」空気の出入りだからこそ、すべて「予想できている」ということです。
これに対して「漏気」はどうでしょうか。
例えば冬の風の強い日にどこからともなくすきま風を感じたとしましょう。
どこから、どんな空気が、どれだけ、どんな経路で出入りしているのか。
この質問に対して、答えられるでしょうか。
- (どこから)どこか?のすきまから
- (どんな空気が)外気?隣の部屋の空気?が
- (どれだけ)?
- (どんな経路で)どこか?のすきま?を通って出入りする。
どこにすきまがあるのかもわからない。
外気が入ってきているのか、隣の部屋の暖房していない空気が入ってきているのかもわからない。
どれだけの量かもわからない。
壁の中をずっと通ってきたのかも、サッシのすきまを通ったのかもわからない。
・・・まったくわかりませんよね。
「漏気」とは「意図していない」空気(気体)の出入り。
「意図していない」ということは、すべて「予想できていない」ということ。
「予想できていない」ということは・・・。
そう、
何が起きるのか、
どんなことが起こってしまうのか、
「わからない」。
「漏気」が「意図していない」ものであるということがどういう意味をもつのか、わかっていただけるのではないでしょうか。
・「漏気」は「意図していない」
・「意図していない」 = 「予想できていない」
・「予想できていない」 = 何が起こるか誰にも「わからない」
次回は「漏気」のリスクについてのお話しをしようと考えています。
「わからない」ことがどれだけ恐ろしく、不安をさそうことなのか、よりわかっていただけるのではないかと思います。