嫁入道具の化粧台のリペア その2


前回のあらすじ

ご依頼主が嫁入道具としてお母さまに買ってもらったという大事な化粧台のリペアを請け負ったUMINOHI.
何十年も経ち,ボロボロの状態になってもどうしても捨てられなかったご依頼主のお気持ちになんとしても応えたい・・・
そんな思いを胸にリペアを開始するUMINOHIであったが,そこには思いもよらぬ難敵が立ちふさがるのであった・・・


樹脂コーティング剥がし作業が想像以上に難航.
天板面を剥がし終わるだけで2時間以上が経過していました.
できる限り下地の木材を傷めずにコーティングを剥がす必要があるので,
なかなか神経を使う作業です.
わりと剥がしやすそうな天板面で2時間以上・・・先が思いやられます・・・

じつは,この化粧台をお預かりする際にご依頼主がおっしゃっていたのが,
「ボロボロ剥がれてくるところだけでもなんとかなればいいの」
というお言葉.

作業中にその言葉が頭の中をぐるぐるとめぐります・・・

もうこれ以上剥がす必要はないのでは?
この面は剥がさなくてもよいのでは?
ご本人がボロボロ剥がれるのさえなくなればいいと言っているし・・・

・・・・・・・・・

でもご本人にはとても大事な化粧台で
ボロボロになっても捨てられなくって
なんとか蘇ってほしいという望みをUMINOHIに託してくれたのに

中途半端なことをして
剥がしたところと剥がしてないところで統一感がないものが出来上がって
それでもご本人がいいと言っているのだからと言い訳して・・・

そんな半端なものをお渡しするのはやっぱり我慢できません!

そんな気持ちで作業すること丸3日・・・
実働でも2日以上かかり全ての剥がし作業が完了しました.
長かった・・・

相棒の平刀も激闘の末に刃こぼれしていました.

その後は剥がし作業の際に傷つけてしまった下地の補修をし,全体を研磨してニス塗り.
なれない作業とはうってかわって早いものです.

そうしてお預かりしてから1週間以上かかりましたが,無事リペアが完了しました!

全面コーティングを剥がしたことで全体の統一がとれて自分としては満足の出来ですが・・・
ご依頼主に無事お渡しして,本来付属している鏡を設置してみるまで安心はできません.
早速ご連絡を取りお渡しにうかがいました.

鏡を設置しても色・つやともに違和感なく,統一感のとれた印象です.
ご依頼主にも喜んでいただけて,苦労が報われるようでした.

あのとき妥協しなくて本当によかった・・・( ;∀;)

お渡しした後もご依頼主とお話をしていたのですが,
この化粧台は嫁入道具のなかでも,お母さまが娘のことを考えて収納が多いほうが良いだろうということで,わざわざセット品ではないものを選んで贈ってくれたものだったといいます.

娘を想う母の気持ち
母を想う娘の気持ち
そのふたつがたくさんこもった大切な宝物

ご依頼主がその宝物とこれからも一緒にいられるお手伝いができたようで
とても心温まる気持ちでお仕事を終えることができました.

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