すのこベッドの補強
新たなすのこベッドの修理
前回ご依頼いただいた方から、再度すのこベッドの修理依頼が来ました。
寮の入居後にすのこが割れていることが発覚したようで急ぎの依頼とのことです。
頂いた写真はこちら。

前回はすのこ板同士を平ロープでつなげたものでしたが、今回は一般的なすのこ形状のようです。
すのこ板同士をつなぐ木材が3本割れてしまっているのがおわかりいただけるでしょうか。
すのこ板に乗ったのか、単に荷重に耐えきれなくなったのか・・・。
真ん中あたりのちょうど一番力が掛かる部分に割れが発生しています。
今回は何度もご依頼いただいている方の急ぎの依頼。
寮なので作業スペースも確保できるようですし、作業的にもそんなに重いものではないので、なんとか持ち帰らずその場で修理できないものだろうか・・・。
修理はその日のうちに!
幸運なことに現地の近くに大きなホームセンターがあります。
作業スペース。作業時間。材料の確保。
条件は整っています。
お客様の急ぎのご要望にお応えするためにも現地でその日のうちに修理することを決めました。
とはいえ、現物を見てみるまで内心ヒヤヒヤです。
現地で寮の管理人の方に案内されて現物を確認し、写真に写っている箇所以外に対処しないといけないところはなさそうなのを確認して、やっと落ち着くことができました(笑)。
今回の計画は修理というより補強です。
木材の割れたところに接着剤を流し込み修理はしますが、それだけではまたすぐに壊れます。
割れた木材をそっくり交換してしまうのが一番スマートですが、すのこベッドの上にクッションを置いて初めて使える製品なので、すのこ部分の見た目を気にする必要はほとんどなく、すぐに壊れない強度を確保する方が優先です。
今回は横に同等の木材を添わせるように配置して補強をする方が良いと判断しました。
まずは割れた部分に接着剤を流し込み、クランプで力をかけた状態で放置。
その間に必要な木材のサイズを確認し、ホームセンターへ買いに走ります。
同等のサイズの桧材があったのでそれを購入しカットもしてもらいました。
(いつもは自分で切りますが、時間の節約と、現地が汚れるので。1カット30円くらいで、DIYでされる方には非常に便利ですね。)
帰ってからはやすりで長さの微調整と面取り、さらに表面に引っ掛かりがない程度に研磨します。
接着剤を塗って所定の位置に配置し、さらにビスを打って固定して完成です。
木材の購入などを含めても今回は約半日で作業を終えることができました。
すのこベッドは消耗品???
それにしても、すのこベッドというのはなかなか曲者のようですね。
今回のお客様に聞きましたが、これまでも年に何台かは壊れていたみたいです。
すのこベッドは耐久性の低い、消耗品なのでしょうか???
後ほど確認しましたが、私が扱ったすのこベッドには説明書に
「10cm以上の厚みのマットレスを使用するように!」
という注意書きがされていたようです。
これ寝心地に関する注意ではなく、「ベッドの破損の原因になります」とのこと。
つまりメーカーも「一か所に荷重が集中すると壊れかも・・・」と認識しているため、厚みのあるマットレスで荷重を分散して使うようにという注意をしているのでしょう。
通常、すのこは押し入れの床に敷いて湿気対策としたり、ベランダや浴室の床に敷いて水はけをよくするために使われるもので、たいてい床にべたっと敷いて使うものですよね。
しかしすのこベッドのすのこは四周以外は浮いている状態です。
つまり上に乗ったとき、すのこは大きくたわむことになります。
ここが大きな落とし穴です。
通常のすのことは違う使われ方をされているので、使う側もそれを承知して使わなければならないのです。
でも普通は、すのこは上に乗って良いもの。
違う使われ方をされていても、上に乗ることは大丈夫だと思い込むわけです。
そしてマットレスなしで上に乗り、
バキッ!!!
となってしまうわけですね。
つまり、すのこベッドの耐久性は決して低くなく消耗品だということでもないのですが、壊してしまいやすい家具ではあると言えるかと思います。
家具を長く使ってもらうために、「使う人が壊しにくいデザインをする」ということも大切なんだということを私も気づかされた案件でした。
Before
After



作業手順
割れ材接着補修 → 木材切り出し → 研磨(面取り、長さ調整等) → 接着 → ビス止め
作業費用
6,000円